それさえもたぶん退屈な日々。

ぼんやりしてて自動移行されました

ミミズクと月の王(紅玉いづき)

ちくしょう、泣いた!


電撃文庫の第13回電撃小説大賞〈大賞〉受賞作。
今更だけどようやく読んだよ。
『僕らは何処にも開かない』とか挿絵なしはこれまでもあったから、ああまたなんか狙いすぎのが大賞を取ったのかよと敬遠していたのだけれど、いい意味で裏切られた。


ていうか、電撃はいつもいつもどうしてこうあとで電撃で生き難そうな人を大賞にしてくれるのかなと悩むんですが(そしてこういう装丁にしてくれるのかと突っ込みたい)、それでも満足した。
いいジュヴナイルよんだ。
現状、いいジュヴナイルってよむの難しいと思うんですよ。児童文学って生きていけないと言うし、実際アンテナはってないとなかなか手に取れないし(そもそも新人賞がどれぐらい機能してるのか知らないし)。
こういう話は、新潮社のファンタジーノベル大賞あたりから出てもおかしくはない気はするけど、コバルトやらビーンズやらX文庫の新人賞からは決して出てこなかっただろうなあ。あえていうなら一定以上昔の富士見ファンタジアから出ていてもおかしくなかったか、な。『ねこのめ』とかああいうのが出てた時代なら。あるいは中央公論新社の新書あたりならこれほど浮かなかったかも。
電撃と言うレーベルは第一回のゲームノベル大賞から高畑京一郎の『クリス・クロス 混沌の魔王 』をハードカバーで出したりとか従来の消費されるライトノベルから少し外れたことをしてきてるし*1、同じようにジュヴナイルに分類したくなる『キノの旅』とかもあるから、レーベルを間違えているとは思わないのだけれど、現状のライトノベル層がこれを絶賛するかといわれると「いい話だけど、ラノベじゃねーよ」っていう評価になっちゃうんじゃないかと。
いっそこれハードカバーとかでも良かったんじゃないかな(ああでもハードカバーだったら私は買ってないな……)。
ていうか、電撃は新書レーベル立ち上げたらいいと思う。ハードカバーじゃなくてさ。*2
(あ、あとコバルトはこの話に新人賞をあげなくても、こういう雰囲気の話は野梨原花南のかくファンタジーにちょっと通じてるところがある。もっと寓話的になっているけれども)

*1:コバルトが古い話の復刊を単行本で行ったのはそのあとだしね

*2:ハードカバーは疲れるから好きじゃないと言う超個人的理由だけど。