それさえもたぶん退屈な日々。

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アダルシャンの花嫁 短編集 ユスティニアの花束(雨川恵)

再読。
もともと雑誌の短編で読みたくなったのはこちらだったのだけど、ようやく発掘できたので。
4/7が雑誌掲載だったので独立性は高い分、過去話がおおめ。
完結後にあらためて読み直すといろいろ判明した事があったのでちまちまとメモってみる。

花の約束

ユスティニアはカストリアでも正しく規格はずれだった話。
光溢れる情景がどこまでも悲しいのは、その結末を知っているからなんだけれども、この過去が『グラーレンの逆臣』の出征時のごね方と『イシュターナの祝鐘』のリボンを結ぶとこに繋がるんだと思うと感慨も深い。

てのひらの記憶

アレクが兄に勉強させられる話。
ユーゼリクスは目的を伝えないのは意地悪よりは天然だよなとしみじみと思う。
意図が正しく伝わっていないなどと思いもしてないところがかわいい。
でも気づいても決して自分からは言わないけどな、兄は。いつの日かアゼリアあたりにころっとばらされてうろたえるといいと思う。

未来の花嫁

アダルシーナたらんとがんばるユスティニアの話。
たしか『バルハールの姫君』前後で雑誌に載ってた……はず。だから『バルハールの姫君』とかそのへんで馬に乗る話が出てくるんだたしか。
ある意味『ホーム・スイート・ホーム』に一番直で繋がってる話。
ユティかわいいよユティ。

ひだまりの誓約

如何にしてフラッドがアレクと出会いその面倒を見るようになったかという話。
アレクが怪我をする事を嫌がるというのはこの辺から来てるらしい。確かにこのやせ我慢っぷりでは怪我してもしばらく隠しとおしてただろうなー。でもアレクはアレクでフラッドが怪我したりなんだりがいやなようなのでお互い様だと思う。
兄もちゃっかり美味しいところをさらっている。
しかしフラッドがアレクの下に正式につくようになったのっていつなんだろう。この直後に兄が手を回してつけちゃったのかな。

孤影の光

短編集の中で一番過去に位置している、アレクと兄の馴れ初めの話。
苦しい中でアレクが「おにいちゃん」と呼ぶ相手は兄じゃなかったけど、それで仲が深まったのなら結果オーライなのか、な。
しかし今更、兄が真相を知ったら例の心の狭さ*1を発揮して私怨でなんかしそうだなあ……。

真夜中の秘密

夜の闇が怖いユスティニアとなんだかんだ子守になれたアレクの話。
アレクの腕に安心してことんとねむるユスティニアがかわいい。『ハルシフォンの英雄』読了したばかりなので、あちらのラストと対になっている感じでほのぼのした。

ホーム・スイート・ホーム

『兄上といっしょ』に大満足するアレクの話。
兄はきっとなんだかんだ毎年、自分にもらったお菓子の一部を横流ししてたんだろうなー、としょうもない事を考えた。フラッドがすでに傍らにいるっていう事は7,8歳のころ、かな?
それと、フラッドが『アダルシャンの花嫁』でちらっと「自身の軍籍は策謀の結果」と言ってるんだけどその一端が垣間見える記述あり*2

*1:『アダルシャンの花嫁』終わりの方参照。

*2:本当にしっかり描かれているのは『イシュターナの祝鐘』でだけど。